荏胡麻ってどんな植物?

どんな植物?
荏胡麻はシソ科の一年草です。「え」「しろじそ」「じゅうねん」ともよばれます
高さは1メートルほどで8月から10月にかけて開花します
葉はシソに似ており、独特の香りがあり黒荏、白荏、赤荏などの種類があります

原産地はどこ?
東南アジア(インド、マレー)の原産とされ、エジプトでも古くから栽培されていました
日本には中国大陸から朝鮮半島を経て入ってきました
「じゅうねん」という呼び方は荏の中国語読み「jen」や韓国の全羅南道方言「jin」によるそうです

いつ頃日本に入ってきたの?
「東大寺正倉院文書」の天平年間(729〜)の記録に荏胡麻の名が記されており、当時すでに各地で栽培が行われていたようです
ですので奈良朝以前に入ってきたと考えられます
そのほか「延喜内膳司式」など多くの古文献に食料として記載されています

荏胡麻油の特徴は?
荏胡麻の種子は35〜40%の油を含んでおり、これを搾りとったのが荏胡麻油です
乾性油です

用途は?
燈明用
当宮で荏胡麻油が製造されていた当初は神社仏閣用の燈明用油として献上されていました
その後一般の家々でも使用されるようになり日本全国に広まってゆきました
お隣の韓国でも同じように古くから燈明用として使用されていたようです
荏胡麻油の搾りかすを1メートルほどの麻幹(おがら)に塗って乾燥したものを室内の壁に穴をあけて差し込み、これに点火して照明として用いました
これが燃え尽きるのには一時間ほど要したそうです

防水・つや出し用など
乾性油の特徴を利用して古来より雨具、油紙などに防水用として用いられたり漆の混和物にも使用されるようになりました
現在でも防水用として、さらに家具のつや出し油として使用されています
また、当宮にある5本線の入った築地壁は荏胡麻油で土を塗り固めて作ったものと伝えられています
韓国でも古くより雨具の防水用として使用されていました
荏胡麻油を塗ると丈夫な油紙が出来るため、荏油紙は敷物やオンドル(韓国の伝統的な床暖房)内部に張る紙として使用されました

食用 荏胡麻郷土料理レシピへ
食用油としては、一般的には加熱せずそのまま食します
ドレッシングとして、またパンに塗ったり、飲み物に入れたりお好みでどうぞ
また、荏胡麻の種子は和菓子に用いられたり、荏胡麻みそなどおかずとしても食されてきました
岩手、福島、栃木、岐阜など多くの地方で郷土料理として荏胡麻料理が伝わっています
現在の日本では食材としてなじみの薄い荏胡麻ですが、韓国では現在でもごく一般的に食されています
荏胡麻油は韓国のりに塗られていますし、葉はキムチなどの加工食品の他、生の葉で焼肉を包んで食べたり、ピビンパップの食材として頻繁に食されます
種子をすりつぶした荏胡麻茶もあります